皆様はどんなクリスマスを過ごしましたか?
人とホスピタリティ研究所 高野登さんから昨日メッセージをいただきました
ので、おすそ分けです。
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多くの皆さまから、クリスマスメッセージへの感想を頂きました。
有難うございました。
『見えないものに価値を見出す感性』がいま本当に求められているのだと
痛感しました。
さらに、人の本質に立ち返った心の有り様が問われているように思います。
メディアは、日本の社会は無縁社会、孤絶社会などと言われていますが、
冗談じゃありません。
こんなに心優しい人達がたくさんいる社会が、無縁社会であるはずがない。
ただ、一部の人たちは、心が繋がるきっかけを待っていることも事実なのかも
しれませんね。
そのきっかけ作りが出来たらいいなあと願いながら、今年もホスピタリティの
伝道の機会を頂きました。
今日はクリスマスの翌日。昨日友人から届いた素敵なお話を転送させて
頂きます。
ケメコさん、いつも有難うございます。
ブログを持たない私からの、年内最後の一斉通信です。
お付き合い頂けましたら嬉しいです。
それでは、今日も佳き一日を授かりますように!
人とホスピタリティ研究所
高野 登
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■クリスマス 落合恵子
古道具屋で買ったテーブル。
その引き出しから出てきた一通の手紙の、これは物語である。
鉛筆で記された手紙には、「いとしいコニーへ」とある。
1914年のクリスマス。第一次世界大戦での、ある戦線。
手紙の書き手ジムも含めたイギリス軍は、無人地帯を挟んで、
ドイツ軍と対峙していた。
と、ドイツ語の塹壕で白旗が振られ、中から声が響いた。
「メリー・クリスマス」。味方の塹壕からも声があった。
「こっちからも、メリー・クリスマス!」。
さらに大きく白旗が振られ、ひとり、もうひとり、ドイツ兵が塹壕の上に
あがる。
罠かもしれない、とジムは思った。
ドイツ兵は頭の上で酒瓶を振って言った。
「どうだい一緒にやらないか?」
イギリス兵も塹壕から出ていく。ひとり、さらにひとり、と。
こうしてグレーとカーキの外套が無人地帯の真ん中で一緒になった。
ドイツの将校はハンスと名乗り、楽団でチェロを弾いていると自己紹介
した。
ジムは教師だと伝えた。
交じり合った兵士たちは食べ物を分け合い、話し合い、酒を酌み交わし、
誰かが持ち出したサッカーボールで、しばしサッカーに熱中した。
ハンスが言った。「この戦争を終わらせる方法が解ったよ。
サッカーの試合で、勝負を決めれば良い」。
「クリケットなら、イギリスが勝ちそうだ」とジムは返した。
スポーツの試合なら、確かに「親を失う子もない。夫を失う妻もない」。
束の間のクリスマス休戦を伝えたこの手紙は、結局、妻コニーが受け取った
夫からの最後の手紙になるのだが。
『世界で一番の贈り物』
(マイケル・モーパーゴ作、マイケル・フォアマン画、佐藤見果夢訳、
評論社)の前半である。
この小さな絵本を、クリスマスに、わたしは「戦争を知らないひと」贈る。
戦争するのが人間であるなら、「しない選択」ができるのもわたしたち
である、と信じて。(作家)
朝日新聞 2010年12月24日 積極的その日暮らし
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